人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

2023年1月のブログ記事

  • 経営者は社員の人生を預かっている その2

    その1からの続きです。 社員の給与が閉ざされる危惧のある状況のひとつに、「後継者不在」という問題があります。会社に後継者がいなければ、現経営者に万が一のことがあった場合、その会社は頓挫してしまいます。 私がM&A売却に悩んでいた時に肩をポンと押してくれた日本M&Aセンターの分林会長(当時社長)。今... 続きをみる

  • 経営者は社員の人生を預かっている その1

    経営者が会社の存在意義を考えるときに、福利厚生の充実や社内の環境整備以上に配慮しなければならないのが社員の給与です。社員は生きるために働いているのであり、給与は社員と家族の生活設計の基盤になるものです。当たり前のことですが、経営者たるものは、いかなる理由があろうとも、社員に対して給料の遅配や未払い... 続きをみる

  • 継ぎたくない会社はさっさとM&Aしなさい!

    後継者が存在せず、自社の出口がわからずに毎日を送っている中小企業経営者が多数存在します。 同族企業の事業承継をとらえた場合、先代社長から後継者にバトンタッチする時期の商品や、ビジネスモデルが十年経過しているならば、事業承継した商品やビジネスモデルだけでの事業継続は不可能・・・。私は2002年(当時... 続きをみる

  • 優良企業経営ながらも延命の道を選ばす その3

    その2からの続きです。 一億円の内部留保があれば、さらなる事業への投資ばかりではなく、社内環境の整備にも夢が膨らむものです。私の会社が営んでいたリネンサプライ業という業種は、繊維製品のリースとクリーニングの合体した業種であるため、クリーニング工場は蒸気を発生し、真夏には朝から温度計が三十度を指して... 続きをみる

  • 優良企業経営ながらも延命の道を選ばす その2

    その1からの続きです。 M&Aを決断し僅か一年後、予測通り自力経営が継続困難となるハードルが立ちはだかり、物凄いスピードで大幅な減収減益の危機を迎えました。私がM&Aの道を決断していなければ、会社は倒産かあるいは自主廃業への道しか残されなかったでしょう。 一億円の資金的余裕など大手企業にとってはた... 続きをみる

  • 優良企業経営ながらも延命の道を選ばす その1

    その1 M&Aの決断は二〇〇一年四月のことでした。私の経営していた会社の決算は三月です。創業三八年目の経営成績ですが、売上高三億円、経常利益三千四百万円、減価償却二千八百万円という、決算書上では好成績の営業状況でした。もちろん粉飾決算などありません。 財務状況に関しては、現金、預金等の流動資産が二... 続きをみる

  • 後継者が決断した自社売却を容認した創業者の度量

    過去を振り返り、創業者の偉大さを思い知らされることがあります。後継者教育の暗黙のメニューを私に提示してくれただけでなく、後継者の身でありながら私が独断した、自社の売却提言を受け入れてくれたのです。 「若いときの苦労は買ってでもせよ」という名言があります。「若いときの苦労はあとあと必ず役にたつという... 続きをみる

  • 語り部の妻からのメッセージ

    「取締役妻という偉大な協力者」をご笑読いただきありがとうございました。私は文面にも登場している、語り部鈴木均の妻でございます。彼の文章には、恐ろしいほどの説得力があります。実際に経験したからこそ書ける、皆さんへのアドバイスだと思います。机上論ではなく、現実の生々しい内容も含まれているので他人事とし... 続きをみる

  • 夫婦間の適度な距離の保ち方 その3

    その2からつづきます。 その1及びその2をご覧いただいた方は、売却前も、売却後も夫婦睦まじく経過しているように見えますが、売却後大きな試練に襲われました。 6ケ月の別居生活に見舞われたのです。壮大な夫婦喧嘩でした。火種は、子育てや親族との付き合い方についての考え方の相違でした。売却後、私はネクスト... 続きをみる

  • 夫婦間の適度な距離の保ち方 その2

    その1からの続きです。 会社を高額で売れるほど立派に成長させてきた経営者は、良くも悪くも、どちらかと言えば頑固な性格が多いものです。「俺についてこい」と言わんばかりに、率先垂範で経営の舵を取ってきた猛者揃いかもしれません。しかし、ネクストステージにおいては、「俺についてこい」の率先垂範よりも、協調... 続きをみる

  • 夫婦間の適度な距離の保ち方 その1

    コミュニティ及びコミュニケーションの重要性と共に、売却後の人生を豊かなものにできるかどうかのキーポイントとなるのが「夫婦関係」です。夫婦関係が良く円満であれば、リタイア後のネクストステージもうまくいきます。 「主人在宅ストレス症候群」という言葉があります。ウィキペディア(Wikipedia)によれ... 続きをみる

  • 取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その5

    その4からの続きです。 中小企業の同族経営では一般的に、先代経営者から事業承継される時期は、子供の養育費や、生活費が後継者にとって一番重くのしかかっている時期ではないでしょうか。その収入の源となっている会社を売却しようとするわけですから、妻が家業に従事していなければ、会社の実情にうとい後継者の妻は... 続きをみる

  • 取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その4

    その3からの続きです。 自社の問題点や顧客動向を掴むには、経営者自らがあらゆる問題意識を持つことが重要です。私自身経営に対する様々な問題意識を持っていましたので、この問題意識を現状分析する上で「取締役社長室長」という妻の役職は適役でした。 私が様々な形で社員とコミュニケーションをとろうとしても、社... 続きをみる

  • 取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その3

    その2からの続きです。 私は「物事を悲観的に考え、楽観的に対策を進める」ことを信条としています。しかし、「楽観的に物事を考え、悲観的に事を進める」経営者が多いものです。M&A売却の決断において成功、失敗を語れば、楽観的に物事を考える経営者は、自社が危殆に瀕することなど想定外です。危殆に瀕しているこ... 続きをみる

  • 夫婦で培うM&A

    私はM&Aを題材にした本を過去4冊上梓させていただきました。 49才の時自社を売却後に「私が会社を売った理由」を上梓し、そして3年前に「M&Aで明るい老後を迎えた経営者人生」を上梓しました。 「人生100年時代のM&A物語」はこの4冊の本の中から再度リメークし投稿しているものです。「語り部M&A」... 続きをみる

  • 取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その2

    その1から続きます。 M&A成立時に備え、実印や、銀行印、小切手帳、手形帳を私の管理下においておかなければなりません。M&Aの実務を創業者が手伝うということはいっさいありませんでしたが、取締役社長室長として間接部門を統括している妻は、この状況にどのように対処すべきかをちゃんと心得ていたようです。 ... 続きをみる

  • 取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その1

    会社の経営において、経営者の「妻」の存在やその能力が語られることは少ないようです。私の経営していた会社は同族でしたので、大方のスモールカンパニーの構成のように、私の妻も取締役のひとりでした。肩書は「取締役社長室長」というもので、社員総数52名の中で女子事務員5名のリーダーとして、事務、経理、総務の... 続きをみる

  • 単一事業の好調で「ゆでガエル」になった命とりの経営 その2

    その1から続きます。 しかし、そうこうしているうちに、シルバーサービスを手がける企業が増えてきました。高齢化率の高い地方都市という事もあって、介護保険を見込んで、大手企業はもとより多数の企業が参入してきたのです。私は、何度もシルバービジネスでの新事業参入を検討したのですが、当時でも、介護業界は創生... 続きをみる

  • 単一事業の好調で「ゆでガエル」になった命とりの経営 その1

    相続税の問題に付け加え、経営上の問題もありました。事業の柱がたったひとつという単一事業での経営は、さまざまな経費が単一事業の収益によって支えられているため、支えている事業本体が収益性や成長性を失えば、再生しにくくなります。  経営には常にリスクがつきまといます。また、事業のサイクルも十年、一説には... 続きをみる

  • 相続税対策の不備は死活問題 その2

    その1から続きます。 相続対策の問題を創業社長と顧問税理士に質問すると、創業社長は無言のままですし、一方の顧問税理士は「時折その進言をしたのですが・・・」という、言葉しか返ってきません。相続税が会社の経営問題に発展するであろうことに対し、私を含め誰もが悠長に構えてしまっていました。 創業時からある... 続きをみる

  • 相続税対策の不備は死活問題 その1

    私の経営していた会社は二つの工場を有し、工場の敷地総面積はおよそ千八百坪ほどありました。このうち、創業社長である父が興した工場は、本社工場と称して約三百坪ほど、残りの千五百坪ある工場は、私の主導で一九九七年に買い求め稼動させた工場です。 私が購入したこの工場は、全てを会社名義として登記したのですが... 続きをみる

  • M&Aの恩師との出会いで売却を決断 その1

    企業の存続に必要なことは、企業の生々流転のサイクルを知り、各期ごとの特徴や形態のパターンをつかみ、衰退期を迎える前に成熟期から再生期にスムーズに移行できるよう、事業の柱を次々に構築していくことです。 衰退期に入らず再生期を迎える企業と、そのまま衰退期を迎えてしまう企業との間には、いったいどこにどの... 続きをみる

  • 創業者の父が憲法だったわが社の事業承継構造

    新年あけましておめでとうございます。 本日より令和5年の投稿を開始します。 本年もご愛顧頂ければ幸です。 父が代表取締役会長、私が代表取締役社長、母と妻が取締役・・・・。これが、私の経営していた会社の役員構成でした。同族スモールカンパニーの典型的な役員構成です。四名の役員構成とはいっても、常勤役員... 続きをみる