人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

夫婦で培うM&A

私はM&Aを題材にした本を過去4冊上梓させていただきました。


49才の時自社を売却後に「私が会社を売った理由」を上梓し、そして3年前に「M&Aで明るい老後を迎えた経営者人生」を上梓しました。


「人生100年時代のM&A物語」はこの4冊の本の中から再度リメークし投稿しているものです。「語り部M&A」の活動も4冊の本の内容を90分に凝縮してお話しさせていただいています。


M&A決断は社長の専管事項ですが、夫婦間で売却をとらえた場合、奥様の意向を無にするわけにはいきません。大半の同族中小企業では、何らかの形で社長の奥様が経営に絡んでいます。


今は、自社の事業からは離れているが、夫婦二人三脚で歩んできたという奥様もいらっしゃると思います。常に実務に従事していなくとも、経営のバックヤードで社長を補佐されている奥様もいらっしゃるでしょう。二人三脚で経営を担ってきた奥様に何の相談もすることなく、社長一人で売却を決断してはいけません。一人で売却を決断し、奥様にも秘密裏に事を進めていったならば、奥様の存在が売却の壁となって立ちはだかるはずです。


男性経営者がM&Aを決断する際、妻は売却を理解し、売却後も二人三脚で生計を共にしてくれるのであろうか・・・と、自問自答してみてください。


この自問自答をスキップし、事前に売却の合意が得られない場合、夫婦の絆が途切れる恐れがあります。絆が途切れるだけでなく、奥様が売却に反対し、売却が頓挫してしまうという危惧さえあります。


社長に限らず奥様も、地域内で社長夫人としての交流があるはずです。一般社員の交流とは違い、様々なセレブ的な交流があるものです。その交流が、売却と共に無くなってしまいます。社長夫人としての交流から遠ざかってしまうということです。


さらに、
売却までの日数は誰にも読めません。夫婦が売却を合意し共にM&Aの戦場に臨むというスタンスは、奥様の存在が成約までの精神的支えとなります。成約までは、守秘義務がありますから、売却の推移を誰に告げることもできません。夫婦の絆があれば、社長が経営と売却実務の板挟みで精神的に挫折することを防ぐことができます。


夫婦間で徹底的に売却について語り合いそして、将来をどの様にするかを語り合い、夫婦間の合意で売却を決断し、成約を迎えたならば、夫婦の絆も一層強くなり、売却後の人生を楽しむことができます。


中小企業のM&A戦場は社長一人の闘いではありません。社長を支える妻の闘いでもあります。「人生100年時代のM&A物語」は現在、「取締役妻という偉大な協力者」のタイトルで妻のM&Aの闘い方、そして「夫婦間の適度な距離の保ち方」のタイトルで売却後の夫婦の在り方を実践論で述べています。


明日は「取締役妻という偉大な協力者その3」を投稿します。ご笑読ください。