人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

夫婦間の適度な距離の保ち方 その1

コミュニティ及びコミュニケーションの重要性と共に、売却後の人生を豊かなものにできるかどうかのキーポイントとなるのが「夫婦関係」です。夫婦関係が良く円満であれば、リタイア後のネクストステージもうまくいきます。


「主人在宅ストレス症候群」という言葉があります。ウィキペディア(Wikipedia)によれば、夫が1日中在宅するようになることで、妻のメンタルヘルスや体調が悪化する疾病概念だそうです。売却後仕事をリタイアしてしまえば夫婦で一緒にいる時間は格段に増えます。一日の大半を夫婦で過ごすと言ってもいいかもしれません。しかしながら、リタイアした途端、夫の行き場がなくなると妻は夫を煩わしく感じてしまいます。このことが、夫婦間のトラブルを引き起こす火種になるかもしれません。


経営者に限らず男性の大半は、リタイアしてしまえば自宅という居場所があり、「妻と安泰した余生を暮せる・・・」と思っているかもしれません。しかしながら、妻と共に平穏な余生を暮すには、妻への思いやりと、それなりの努力が必要です。


会社を必死で切り盛りし、一生に一度体験するか否かという会社売却を成功させ、余生の資金を作り上げるまでは、多少の夫婦喧嘩があっても、夫婦間に大きな亀裂はないかもしれません。夫婦間のコミュニケーションを気遣う余裕などないからです。しかしリタイア後は奥様への配慮が必要です。専業主婦の奥様は長年、家事や子育てに専念し、家を守っていたわけです。


経営者のあなたにはあなたの考えがあり、奥様には奥様自身の考え方や行動様式があります。あなたが考えているネクストステージプランと奥様が考えるネクストステージのプランには隔たりがあるかもしれないのです。ネクストステージ計画の隔たりどころか、自宅が、リタイア後の快適な居場所にならない危惧もあります。


夫が妻と一緒に過ごす時間が増えると、しらずしらずのうちに妻を干渉しがちになります。以前マスコミで「家庭内管理職」という言葉が報道され話題を呼びました。定年退職後、家族を部下のように扱って、家族から愛想を尽かされる男性を指すのだそうです。


売却後にリタイアした経営者にも当てはまるかもしれません。「会社でトップに立っていた自分の姿」が忘れられず、家庭内で経営者のように振る舞い、妻に対し偉そうに命令し、ついには、妻や家族に見放されてしまうというのが、リタイア経営者の「家庭内管理職」の姿かもしれません。心当たりはないでしょうか。


その2に続きます。