人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

売却したお金の受け取り方

売却が成立した後のお金はどこで受取るのでしょうか。数百万、数千万円、あるいは数億円で売却したお金はどこに行ってしまうのでしょうか。


株式会社を売却した場合、譲渡金は売却した株主の銀行口座へ振り込まれるのが一般的です。株式会社ですから当たり前・・と一蹴されてしまいそうですが、私にとっては当たり前ではなかったのです。


私は会社が売れた後、その売却益で新会社を第2創業することが目的でした。当時の私はM&Aの知識が乏しいまま売却を決断しましたので、今振り返ると笑うに笑えないドジがありました。


売却が成立したならば、そのお金は、私の口座に全額振り込んでもらい、私が以後の譲渡金管理を行うという考え方でいたのです。


売却には、株式譲渡と事業譲渡があります。株式譲渡は、売り手企業の株主が買手企業に株式を譲渡しますので、株主それぞれの銀行口座に応分のお金が振り込まれるわけです。


一方の事業譲渡は、売り手企業が買手企業に事業に係る資産を売却しますので、会社がお金を受け取ります。


つまり、株式譲渡であれば、私が所有している株式の比率に準じたお金が、私個人の銀行口座に振り込まれ、事業譲渡であれば、全ての譲渡金が会社名義の銀行口座に踏み込まれるということです。


こんなことも理解せずに、株式譲渡でありながら、売却額の全てを、私個人の銀行口座に振り込んでもらうことをイメージしたのです。単純で浅はかな考え方で、私のM&A売却がスタートしたのです。私の持ち株は発行株式の13パーセントと僅かでした。大半の方は、苦笑いでしょうね。


譲渡金全てを私が受け取るには、私が100パーセントの株式を保有していなければ不可能なのです。売却決断時、私の調べでは14名の株主がいました。一族で7名、その他7名が私と付き合いのない方々で、創業者の父が名義を借り、株主になってもらった方々でした。名義株7名の株式は売却前に私が買い戻しましたが、この買い戻しも一筋縄ではいかず、ドラマがありました。


最終的には、私と妻、父と母、姉と姉の子3人(離婚の為姉の夫除外)の計7名となり、それぞれの預金口座に譲渡金が振り込まれたのです。


実は、姉一族の株式も名義株でしたので、姉一族はその存在をしりませんでした。株式の買い戻し及び、姉一族への譲渡金支払いにはドラマ(修羅場)が待ち受けていましたが、いつの日か機会があればお話するつもりです。