人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

母他界の3日後に認知症の父が後を追う その3

その2から続きます。


成年後見制度というものがあります。


認知症などの理由で判断能力の不十分な方々の財産や、日常生活を保護する制度です。判断能力を欠く状況にある人を守るために、裁判所が「後見人」を選任します。


誰が後見人に選任されるか・・・・


先代経営者が認知症になった場合、「後見人」の選任が事業承継のポイントとなってしまいます。


私の事例で言えば、成年後見人制度については、何の手立ても講じていませんでしたので、当制度が行使され、私が後見人に選任されなかった場合は、M&A売却がどのような行方になっていたかわかりません。


しかしながら、父は認知症になってから、一年もたたずに肺炎で他界してしまいました。父の売却益は、成年後見人の制度適用から、相続のための遺産分割協議になり、相続税の対象となりました。


遺産分割においても、父のM&A売却益は「争族」の火種になる兆しがありましたが、生前父母と取り交わした「念書」(本来は遺言ですが念書も有効な手立てになりました)の有効活用で円滑な相続と事業承継に至りました。


私のケースは、父が認知症から他界までの期間が短かったために、成年後見制度に無頓着でいてもトラブルはありませんでした。運が良かっただけかもしれません。


しかし、高齢となった経営者は、私の父のように突然、認知症を発症するというリスクを誰もが抱えています。その時に備えた対策は大丈夫でしょうか。