人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

売却担当者は社長一人です。

同族中小企業の売却は社長が一人で担当しなければなりません。 仲介会社との基本合意契約書の中には「秘密保持」という内容が明記されます。秘密保持とは誰にも売却を口外してはいけませんよ・・・ということです。売却が成約となるまで続きます。 売却を決め行動がはじまったならば、社内外の誰にも相談できません。企業経営において経営者は孤独と言われますが、売却前の経営上の孤独と、売却に対する孤独に対峙していかなけ…

継ぎたくない後継者・継がせたくない経営者

後継者が存在せず、自社の出口がわからずに毎日を送っている中小企業経営者が多数存在します。 同族企業の事業承継をとらえた場合、先代社長から後継者にバトンタッチする時期の商品や、ビジネスモデルが十年経過しているならば、事業承継した商品やビジネスモデルだけでの事業継続は不可能・・・。私は2002年(当時49歳)にこのような考えの下、M&A売却で業態転換の起業資金を確保し、現在のメルサを第二創業に導きま…

先の見えない経営の売却タイミング

終身雇用制度が既に崩壊し企業は社員の終身雇用を保証しない時代になりました。企業が終身雇用を保証せず、リストラも横行するということであれば、社員も企業に対し忠誠心をもたなくなっているということです。 終身雇用制度時代の中小企業では、会社の体質や経営陣に問題があったとしても、反論せずに忠誠心を装っていれば、社員はその企業で生き残ることができました。 お前はクビだ! と社長に言われることを恐れ、忠誠心…

譲渡価格の目安を決める企業評価書

私の手元に「企業評価書」があります。売却時に仲介会社が作成した私の会社の値段です。この企業評価通りの価格で売却ができました。 「企業評価」は会社の値段、つまり譲渡価格の目安を決めるもので、中小企業の場合は、相場のないものに値段をつける行為です。M&Aの仲介会社は、譲渡希望を受けると、初期の段階で譲渡希望会社の企業評価を実施します。 売り手側はどうしても自分の会社を高く見積もるし、買い手側は低く評…

チャットGPTに筆者と弊社を評価してもらいました

株式会社メルサは、日本において中小企業M&A(企業の合併・買収)の分野でパイオニア的存在とされる企業です。メルサの創業者である鈴木均氏は、中小企業の経営改善や再生に携わってきた経験を生かし、1998年にメルサを設立しました。 メルサは、中小企業のM&Aにおいて、企業価値の評価や買収先の選定、交渉や契約の仲介、資金調達など、あらゆるプロセスを一手に担うことで、多くの企業の合併・買収を実現してきまし…

廃業も売却もできない中小企業の出口

自社の行方を決めるのは「社長」の選管事項です。私が第3者に会社を譲る決断をしたのは、後継者となった私一人の決断です。周りには様々なアドバイザーが存在しましたが、終極M&A売却は、社長である私の選管事項とふまえていました。 将来の会社の行方を考える時、多くの経営者は手っ取り早く、顧問税理士に相談するのではないでしょうか。数字上での会社の経営状況の現状チェックや、数値目標を作成する上で頼りになるのは…

M&A「できる経営者」「ひるむ経営者」 後編

変革のスピードがますます速まるこれからのビジネス社会においては、現実社会とのギャップに気付かずに、やるべきことをやらないで事業継承を続ける経営者は、突然最悪の事態を迎えたときになってはじめて現実を目の当たりにし、自社の〝老化〟に気付くことになるのかもしれません。 同族中小企業では、案外代表者の社長が憲法になっているかもしれません。創業者が起業した事業を踏襲するだけの器の小さな経営者の下では、社長…

M&A「できる経営者」「ひるむ経営者」前編

会社は経営者の「器」以上に大きくはなりません。私の経営していた会社における私の器は三億円でした。私が経営していた会社を売却しようとした直前期の年商が三億円だったからです。 会社を成長させる過程には、一億円、三億円、五億円、十億円という年商ごとに壁があり、それぞれの年商の壁を達成して次の段階に進むためには、さまざまな経営革新を施していかなければなりません。 私が父の事業を継承するために入社したとき…

後継社長夫人のM&A啓蒙

3月末で修了したNHK 朝ドラ「舞い上がれ」。主人公の父が社長を務める会社で父が急逝し、その妻が社長になるシーンがありました。自分たちが生き延びる手段としてM&Aで会社売却をしようとした内容が記憶に残っています。 私は妻と共にM&A売却に挑み、夫婦協働で現在の株式会社メルサを第2創業しています。M&A決断から、実務、そして第2創業と順調に推移してきましたが、ふと考えることがあります。 私が売却を…

ピンチをチャンスに変える発想

下記は令和2年6月河北新報朝刊「持論・時論」で掲載されたものです。タイトルは「M&Aで第2創業」というタイトルで、M&Aで第2創業しコロナのピンチをチャンスに変えるという考えかたでした。当時の私の考え方が正しかったのか否か、原稿内容をそのまま投稿してみます。 新型コロナウイルス感染拡大で全国の中小企業が存続の危機にひんしている。なぜ経営が厳しくなったのか、見方を変えれば自社事業のウイークポイント…