M&Aという戦場での盟友は誰か その2
その1からの続きです。
私の会社は創業時から株主への株券の発行がおろそかになり、そのまま何十年も推移していました。私の会社の場合、創業当時は株式会社を設立するには七名の株主が揃わないと会社登記ができず、一株でも二株でも他の株主を確保する必要があったため、株式会社設立の最低条件を整える事情があったようです。
少数株主であれ、大株主であれ、株主名簿と株券は発行済株式どおり揃わなくてはなりません。しかし、私自身、会社の株券を見せられたことがなく、だれが株主なのかさえも正確には知らされておらず、しかも株式を管理しているはずの創業社長もこの件についてはあいまいで、私はただただ途方に暮れるばかりでした。
そんなとき、私のアドバイザーである日本M&AセンターのT氏は、その対処法を私に的確に指示し、判然としない端株を持つ株主の処遇やM&Aを継続させるための相手企業への折衝など、すべての問題を円滑に処理してくれたのです。
新会社設立時の株式の発行とは違い、売却決断時までの、創業三十八年の営業であやふやとなっている株券の処理問題です。専門家なくしては対処不能であり、もしアドバイザーがいなければ、私のM&Aはこの時点で頓挫していたはずです。
相手先がしっかりした企業であればあるほど、売却側の株券の問題は重要なウエイトを占めます。私の場合は売却先の好意もありました。売却先の企業は、私の置かれていた二代目経営者としての立場に理解を示し、このような問題にも共に解決の方法を模索してくれたのです。
しかも「売却先の企業が私のことを信用している」という話がアドバイザーを介して私の耳に入りました。売却先の企業が、私のような中小企業経営者に対しても、最初から最後まで高飛車にでることがなく、最後まで紳士的であったことを今でも感謝しています。
このような株券の問題は、私の身の上に会社売却という戦略が発生しなければ、おそらく相続税の問題が発生するまでは放って置かれた問題だったかもしれません。自社株券の管理継承は、二代目後継者としての重要な役割であり、創業社長からしっかりと引き継ぎを受けておかなければならない問題です。さらに、創業者が高齢という状況であればなおさらのこと、同族間のいさかいを覚悟してでも早急に調査し、正確な株主構成と株券の行方をきちんと掌握しておく必要があります。
その3に続きます。
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