人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

先の見えない経営の売却タイミング

終身雇用制度が既に崩壊し企業は社員の終身雇用を保証しない時代になりました。企業が終身雇用を保証せず、リストラも横行するということであれば、社員も企業に対し忠誠心をもたなくなっているということです。


終身雇用制度時代の中小企業では、会社の体質や経営陣に問題があったとしても、反論せずに忠誠心を装っていれば、社員はその企業で生き残ることができました。


お前はクビだ!


と社長に言われることを恐れ、忠誠心を装っていた社員ですが、
いまどきの社員は、


お前は首だ!と経営者に言われると、


首にするなら、不正を訴えるよ・・・!


といわんばかりに、経営者を脅しながら自ら退職していきます。おとなしかった猫が、虎に豹変するが如しです。


談合をもとより、新聞紙上では多くの不正行為が報じられています。その報道の源となっているのが、社員からの内部告発です。自社社員の内部告発は現実味のある問題として経営者はふまえておかなければなりません。フェスブックやツイッターといったSNSで告発し、あっという間に拡散していきます。


自社が社内の不祥事で摘発されたならば、不正企業のイメージダウンによる売り上げ減、銀行融資のストップ等々窮地に追い込まれます。そのとき存続は可能でしょうか。


さらに経営者にとって厄介な問題があります。


私が売却した会社を経営していた時代には考えられなかった,ハラスメントという問題です。ハラスメントとはいろいろな場面での「いじめや嫌がらせ」です。他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることを指します。様々な種類のハラスメントがあり、体力のない企業は,ハラスメントの不対応で淘汰されてしまうこともあります。ひとたび不祥事が勃発すると、堰をきったように次々と社員から経営上の問題指摘が湧き上がり、会社の存続の可否までに発展してしまうのです。


後継者不在の優良企業があっという間に淘汰される要素を潜在的に持っているのが中小企業です。売却決断をためらっている企業が、あっという間に、売値の付かない状況にまで追い込まれることがありますから要注意です。


過去のことになりますが、東日本大震災でも、優良企業が被災し売却できなかった事例もあります。さらに、大地震、豪雨災害等々躊躇している間に、あっという間に自社被災し、太刀打ちできなくなったケースもあります。


コロナ禍の日本列島多くの中小企業がで生き残りをかけ闘っています。


後継者不在で優良企業と言っても、いつなんどき、どんな不祥事が勃発するのか、先の読めない時代です。売却のタイミングを間違えないようにしたいものです。