人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

大リーグとM&Aの代理人

ワールドベースボールクラシック(WBC)は日本チームが世界一になり、大谷選手、ダルビッシュ選手が脚光を浴びた一方で、松坂大輔さんが準決勝で始球式を行っていましたので、彼の仲介人とM&Aの仲介人に焦点を充ててみたいと思います。


2007年、米大リーグレッドソックスへの入団が決まった元西武ライオンズの同投手が、ボストンから帰国後した日、成田空港で会見した時「交渉不安でした」述べていた姿が印象的で記憶に残っています。


当時、初体験の代理人交渉について「自分のことを任すことに不安があった」と正直な気持ちを会見で暴露していました。


あるTV番組では、「契約が直ぐに済むと思ったが長引いて不安だった。相手が自分を望んでいないのではないかと思い、交渉場所のロサンゼルスから、契約できないで帰ってくるのかな、というのが頭にあった」ともメディアを通し話していました。


私にはこの気持ちがよくわかります。M&Aも大リーガーも、仲介人(代理人)を通すという点では同じだからです。私のM&A売却も仲介会社を通しました。当然のことながら、代理人を通してのM&A交渉は初体験でしたので、終始不安であったことは事実です。


私のM&A交渉は、松坂投手と同じく、私が想像したより時間を要しました。時間が経過すればするほど不安が増してくるのが売却側の心理状況です。前述した松坂投手の回顧録のように、「わが社」を誰も必要としていないのではないだろうか。・・・・と、自分の気持が時間の経過と共に沈み込み、悲観的になってくるのです。


M&A売却において、成功報酬等の売却費用を惜しみ、仲介者を介さずに自ら交渉に及び、終局、墓穴を掘っているケースがあるかもしれません。


売却側が買手と同等に交渉を進めるには、仲介者の介入が必要と私は思っています。仲介費用を惜しんだばかりに、その何倍もの損をすることがあるかもしれません。私は、それ相応の仲介料を支払いましたが、仲介者の介入で多くのメリットを手に入れることができました。


松坂投手に限らず、大リーガーを目指し、交渉に成功している野球選手は、優秀な代理人とめぐりあっています。優秀で信頼できる仲介会社とのめぐり逢いは、M&Aの世界でも重要項目のひとつです。


売れる会社には、優秀な仲介コーディネーターが寄り添っていると言っても過言ではないかもしれません。