人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

事業承継価値観の変化 その2


その1でも述べましたが後継者不在から事業継続できない中小企業が増えています。少子高齢化という構造問題が日本経済に重くのしかかっているのです。さらに、少子高齢化以外にも後継者の価値観の変化で実子が親の会社を継ぎたがらなくなってきていることも事実です。


価値観の変化とは、同族中小企業の創業者は、世襲で実子が世代交代するのを当たり前と思っている反面、実子の方は職業選択の自由を掲げて、親の事業を継承したがらないということです。しかし、実子が職業選択の自由を建前にしているものの、良く考察してみると、事業承継を拒む主な原因は、実子を取り巻く様々な環境の方にあるのかもしれません。


その一番の要因は、「日本の社会が豊かになった」ことが考えられます。私が幼少であったころの昔は、自家用車を持てたり、海外旅行に行ったりできるのは経営者の家くらいでした。経営者になることは大変な責任を背負うことになりますが、収入などの面でそれだけのメリットがあつたのです。しかし現在は中小企業経営者よりも、サラリーマンの方が高給取りというケースも沢山ある時代です。


そんな時代に、経営者という重荷をあえて背負い、収入面でも福利厚生でも魅力のない中小企業の後継者になろうとは、実子も考えなくなってきたのです。ましてや、ほとんどの中小企業には銀行からの借り入れがあります。中小企業への融資には経営者の連帯保証が求められます


連帯保証とは、経営者が借入金を返済できなくなった場合に、自らの財産で補うという保証です。自己の資産を担保にとられながらあえて事業を継承することに、実子は価値を見え出せないでいるのです。


そこで、このような中小企業特有の問題解決法として、近年、がぜん注目されているのがM&Aによる会社売却です。


Ḿ&Aでの会社譲渡は、創業者にとっては「創業利益」を手に入れるという大きなメリットがあります。しかも社員は解雇されることなく、創業者は大手を振ってハッピーリタイアができるのです。


第2の人生は自社株の譲渡代金で悠々自適となります。創業者にとってのM&Aはハッピーな経営戦略となりますが、売却後のしっかりした人生計画も事前準備が必要です。