人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

取引口座を見直すと会社が売れる

結婚はご縁です。学歴も家系も良く、美男美女であっても、縁がなければ結婚には至りません。


なんであんな美女が、どこから見ても、ピンとこない冴えない輩と結婚したのだろうか?というケースに遭遇したことはありませんか。


私の結婚は40数年前、家内は日本航空国際線の客質乗務員でした。当時、私の身長は背伸びして160センチメートル(現在は年と共にさらに縮小しましたが)、体重74キロで短足。さらに、あちらの世界の人と間違われる、肩で風を切って歩くいかつい風貌です。魅力ある男性には程遠かったのです。


しかも、
当時の私のサラリーは彼女の半額・・・


世の男性の憧れであった、当時の言葉でいう「スチュワーデス」です。よく結婚できたものだ、と今でも思っています(少々謙遜もありますが)。でも、彼女から見て、何かの魅力が私にあったのでしょうね。


企業の売買も同様です。数字上で良い業績を上げ、企業体力も申し分のない中小企業だからといって、M&Aが成立するとは限りません。結婚と同じく縁です。ご縁がなければ結婚には至りません。


一方、私の結婚のように、身体的条件が悪く、当時の薄給では食べるのがやっとのあり様でも、結婚まで辿りつけるケースがあります。私が結婚できた理由は何だったのでしょうか。今でも明らかにされていません。


中小企業のM&Aにおいても同様のことが言えます。自社の強みを精査してみることです。


一つの例としてですが・・・
自社の強みの中に、譲渡側が欲しがるような取引先がないでしょうか。例えば、零細企業ながらも、取引額は僅かであるが、中堅、大手企業の取引口座を持っている、という企業も存在するのではないでしょうか。


大手企業と新規取引を望んでも、そのハードルが高いものです。それが、譲渡側が大手企業の取引口座を持っているとなれば、営業拡大の切口となります。苦労せずに大手企業との取引が可能になるわけです。もしかしたら、赤字会社でも売れるかもしれない・・・という所以です。


M&Aを支援する専門家が


「赤字会社」でも売却可能!


というメッセージを投げかけているケースに遭遇することがあります。しかし、赤字会社でも、譲受側が、譲渡側企業の赤字を相殺できる何かを持っている場合、という但し書きが無言で含まれているのではないでしょうか。


以前、「放漫赤字経営、売れるかも?」で、経営者の過大役員報酬を是正すれば赤字が解消するケースを投稿しました。目先を変えて今回は、大手企業との取引口座に焦点をあてましたが、取り引き先以外にもお宝が眠っているかも知れません。


私が売却した会社は、病院や老人ホームに、寝具等のリネン製品をリースする会社でした。取り引き先には国立病院、公立、市立の病院、さらに、私立の大手病院等、著名な取り引き先を多数保有していました。譲受側企業は様々な事業を運営していましたので、私の売却した会社の取引先を切口として、さらなる事業拡大で業績を伸ばすことができています。


私の結婚に戻りますが・・・
既に40数年のアニバーサリーを迎えましたが、当時は何の魅力が私に備わっていたのでしょうか。案外、当事者にはわからないものです。