人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

ハゲタカM&AとスマイルM&A

過去のことですが、
2007年2月から6回にわたり放映された土曜ドラマに「ハゲタカ」がありました。


日本経済界で、外資系のファンドマネージャーとして暴れ回る、大森南朋さん演じる鷲津 政彦――――。
ビジネスとして、外資的な合理主義を盾に、次々と日本企業に切り込み、買収していく様は、まさに死肉を漁る“ハゲタカ”のようでした。弱肉強食の中で「M&Aビジネス」を題材にした男の野望と挫折をドラマ化したものでした。


2007年といえば16年前。この時代は、現在のように、まだ中小企業のM&Aに理解がなかありませんでした。M&Aで売却したと言っても、「危殆に瀕した会社が乗っ取られた」いったような風評が多かったものです。


今でも、一部の中小企業経営者は、M&A売却をハゲタカのようにとらえているのではないでしょうか。


ハゲタカは大袈裟としても、大企業のM&Aは敵対視しながら進んでいるケースも見受けられますが、中小企業のM&Aは敵対視することはありません。


中小企業のM&Aは終始友好的に進んでいきます。いわばスマイルで進むM&A進捗です。


しかし、一つのステップだけ敵視することがあります。「買収監査(デューデリジェンス)」です。


買収監査は、譲渡側から提出のあった諸帳票を基に、信用できるものか否かを監査するものです。このステップは、譲受会社が譲渡側を、根本的には信用しながらも、疑ってかかる作業でもあります。譲渡企業の信用度を譲受企業の最終的な作業となりますので様々な駆け引きがあるかもしれません。譲り受け側は、買収で大金を支払う訳ですから、スマイルだけのコミュニケーションだけで臨むことはできませんよね。


駆け引きがあっても、譲渡側に何のやましいことも、問題もなければ毅然とした態度で臨めばいいことです。買収監査が修了すれば一時的な敵視から、双方が再度笑顔のコミュニケーションに戻り、晴れて本契約です。


大手企業と中小企業のM&Aで似て非なるところは、中小企業のM&Aは、社長が売却を決断し、社長一人が売却の担当者として契約まで進んでいかなければならないということです。


守秘義務がありますので、売却を進めている譲渡側の経営者一人が担当者となって譲受側の企業と交渉をすすめなければなりません。譲受側企業は、M&A進捗にあたって様々な担当者(専門家)と共にḾ&Aに臨んできます。


譲渡側社長一人 VS 譲受側企業担当者数名


一生に一度経験するか否かの自社売却。誰と一緒にM&Aの戦場に臨むかが勝敗のポイントかもしれません。