人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

終った経営者にならないために その2

終わった経営者その1からの続きです。


経営者の皆さんは手帳をお持ちのはずです。きっとその手帳には、先々のスケジュールがビッシリと記入されているでしょう。しかしながら、一度、そのスケジュールを見つめ直してほしいのです。その大半が自のビジネスを介したスケジュールではないでしょうか。


仕事のスケジュールを除いたならば、「真っ白」となる経営者も存在するのではないでしょうか。現経営者の皆さんは、業界の会合、研修会、親睦会等々、様々なスケジュールにつきまとわれ、自らの余暇を犠牲にしている連日かもしれません。


しかし、売却後、リタイアしたならばビジネスを介したスケジュールが無くなり、手帳に書き込まれたスケジュールは、持病の通院予定だけなどと、笑えない状況を迎えるかもしれません。そこまで悲観的な事にならずとも、売却前に夢見た、国内旅行や海外旅行の予定を手帳に記入できたとしても、年に数回ではないでしょうか。


売却後は妻と二人で悠々自適を夢見たものの、悠々自適が仇となり、外部とのコミュニケーショ不足で孤立し、さらに、唯一の理解者であり伴侶と思っていた妻からも敬遠され、目的もなく、意欲喪失し、孤立してしまう危惧は、売却を成功させた経営者に潜む盲点なのかもしれません。


経営者時代は、経営の第一線で自社を率いていく能力が必要ですが、リタイア後はリーダーシップよりも、あらゆるコミュニティに溶け込む協調性が求められます。会社を経営していれば、なにがしかのコミュニティとのつながりがあります。さらに遡って子育て中であれば、子供を介したなにがしかの行事があります。つまり、自分から求めなくとも、社会と関わるコミュニティが知らぬ間に介在しているのです。


しかし、売却した経営者はそうはいきません。社会と繋がるには,自分からアプローチしていかなければなりません。売却後、様々な意味で生涯現役を続けるには、手帳の空白を埋める努力が必要なのです。


その3に続きます。