人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

財産一覧と遺言書で争族を防ぐ

3年前、タレントの志村けんさんが新型コロナウイルスに感染し、あっという間にお亡くなりになりました。私の知る限りでは、志村さんは独身で,ご両親は他界され、奥さまやお子さんはいらっしゃらないようですので、家族を路頭に迷わすことはないようです。 予測のできない突然の不運や「まさか」は,予告なしにいつの時もわが身を襲ってきます。そのまさかに備え、妻や家族を路頭に迷わすことなく、かつ、迷惑をかけることがな…

後継者不在経営者に寄せる思い

私が会社を売却して20年が経過しています。20年も前に売却した過去の経験をなぜ今頃になって投稿しているのか多くの方々が不思議に思っているかもしれません。20年も前の私の売却経験に対し、若い経営者は興味を持たないかもしれませんね。 当時、中小企業M&Aに理解を示す人は一部でした。しかし、現代では中小企業のM&Aは後継者不在の事業承継手法として認知度を得ています。20年前には考えられなかったインター…

創業者の退職慰労金をM&Aで捻出する

株式譲渡で会社を売却すると、「一株当たりの金額 × 持ち株数」で譲渡金が支払われます。 私がM&Aで会社を売却する前のことですが、 社長であった後継者の私が、私の父である会長(創業者)に退職金を支払い、勇退してもらうには、とてつもない金額の退職金が必要であることが分かりました。 一般的な経営者の退職金は「最終報酬額 × 勤続年数 × 功績倍率」で算出されます。同族会社では功績倍率という項目が加味…

M&Aという戦場での盟友は誰か その3

その2からの続きです。 売却手続きが進むにつれ、株券ばかりでなく、土地・建物の不動産の問題等、M&Aの最終的な契約が近付いてくればくるほど、さまざまなトラブルが発生しましたので、軍師的存在のアドバイザーの能力のすばらしさとありがたさを実感しました。これは実践した者でなければわからないことでしょう。 父、母所有の不動産の問題に関しては、父と母から私宛にすべての権利を一任する旨の念書をもらいましたの…

M&Aという戦場での盟友は誰か その2

その1からの続きです。 私の会社は創業時から株主への株券の発行がおろそかになり、そのまま何十年も推移していました。私の会社の場合、創業当時は株式会社を設立するには七名の株主が揃わないと会社登記ができず、一株でも二株でも他の株主を確保する必要があったため、株式会社設立の最低条件を整える事情があったようです。 少数株主であれ、大株主であれ、株主名簿と株券は発行済株式どおり揃わなくてはなりません。しか…

M&Aという戦場での盟友は誰か その1

M&Aを成功させるには財務、税務、法務の専門家が必要です。中小企業の経営者や業務担当者では、M&A実務に携わる機会はほとんどありませんので、まず無理といっていいでしょう。また、M&Aアドバイザーと称する個人の専門家でも、対象企業の発掘から成約まで一貫してアドバイスのできる能力のある人はそうざらにはいません。 しかし、私が売却した会社のM&Aは日本M&AセンターのT氏というCPA(米国公認会計士資…

会社売却の相談先

私がM&A売却を実践し20年経過しましたが、その手順については過去も現在も違いがありませんのでここでは実践経過として述べて見たいと思います。 中小企業のM&Aは一生に一度経験するか、しないか、という類の経営戦略です。つまり、机上論で知識を習得しているが、実践でアドバイスできる人が少ないということを前提に考えていただきたいと思います。 なぜ、実践論での考え方が必要であるのかを説明します。 後継者不…

「売れるワンマン経営」と「売れないワンマン経営」

放漫経営で赤字会社。 経営上では問題のある会社ですよね。しかし、赤字の中身を精査してみたら、社長の役員報酬が極端に高く、赤字になっていたらどうでしょう。 例えば、中小企業でここ数年、年間1、000万円の赤字会社。数字だけで判断すれば、魅力のない会社かもしれません。 でも極端な話ですが、 社長の役員報酬が年間2,000万円であったとしたらどうでしょうか。役員報酬を半額の1,000万円にしたら、 黒…

自社のお宝さがしで売却を成功させる

一方、私の結婚のように、身体的条件が悪く、当時の薄給では食べるのがやっとのあり様でも、結婚まで辿りつけるケースがあります。私が結婚できた理由は何だったのでしょうか。今でも明らかにされていません。 中小企業のM&Aにおいても同様のことが言えます。 自社の強みを精査してみることです。 一つの例としてですが・・・ 自社の強みの中に、譲渡側が欲しがるような取引先がないでしょうか。例えば、零細企業ながらも…

コロナで淘汰された旅館・生き延びた旅館

二つの旅館があります。コロナウィルスの影響を受けながら、M&Aで生き延びた旅館と、倒産した旅館です。いずれの旅館も法人化されている企業です。 淘汰されてしまった旅館は、福岡博多の奥座敷として知られる原鶴温泉成生閣(かいせいかく)です。他地区との競合が激化し原鶴温泉自体の集客が減少していたうえ、施設の老朽化も進み、集客力も低下していたようです。新型コロナウィルス感染拡大により、先行きの見通しも立た…