人生100年時代のM&A物語

49才の時父親が創業した会社を、父親在命中にM&Aで売却。その後、売却益で第2創業。売却決断実践から20年の経営者人生を綴ります。

夫婦間の適度な距離の保ち方 その1

コミュニティ及びコミュニケーションの重要性と共に、売却後の人生を豊かなものにできるかどうかのキーポイントとなるのが「夫婦関係」です。夫婦関係が良く円満であれば、リタイア後のネクストステージもうまくいきます。 「主人在宅ストレス症候群」という言葉があります。ウィキペディア(Wikipedia)によれば、夫が1日中在宅するようになることで、妻のメンタルヘルスや体調が悪化する疾病概念だそうです。売却後…

取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その5

その4からの続きです。 中小企業の同族経営では一般的に、先代経営者から事業承継される時期は、子供の養育費や、生活費が後継者にとって一番重くのしかかっている時期ではないでしょうか。その収入の源となっている会社を売却しようとするわけですから、妻が家業に従事していなければ、会社の実情にうとい後継者の妻は、売却後の行く先と生活設計があやふやな後継者の売却決断に対して、快く賛成するはずがありません。 先代…

取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その4

その3からの続きです。 自社の問題点や顧客動向を掴むには、経営者自らがあらゆる問題意識を持つことが重要です。私自身経営に対する様々な問題意識を持っていましたので、この問題意識を現状分析する上で「取締役社長室長」という妻の役職は適役でした。 私が様々な形で社員とコミュニケーションをとろうとしても、社員は社長と社員の関係という立場でしか交流しようとはしません。様々な悩みを傾聴しているつもりでも、終極…

取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その3

その2からの続きです。 私は「物事を悲観的に考え、楽観的に対策を進める」ことを信条としています。しかし、「楽観的に物事を考え、悲観的に事を進める」経営者が多いものです。M&A売却の決断において成功、失敗を語れば、楽観的に物事を考える経営者は、自社が危殆に瀕することなど想定外です。危殆に瀕していることに気付いたときは既に遅く、売却など到底不可能な状況にあり、破綻を視野にいれた悲観的な対処となってし…

夫婦で培うM&A

私はM&Aを題材にした本を過去4冊上梓させていただきました。 49才の時自社を売却後に「私が会社を売った理由」を上梓し、そして3年前に「M&Aで明るい老後を迎えた経営者人生」を上梓しました。 「人生100年時代のM&A物語」はこの4冊の本の中から再度リメークし投稿しているものです。「語り部M&A」の活動も4冊の本の内容を90分に凝縮してお話しさせていただいています。 M&A決断は社長の専管事項で…

取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その2

その1から続きます。 M&A成立時に備え、実印や、銀行印、小切手帳、手形帳を私の管理下においておかなければなりません。M&Aの実務を創業者が手伝うということはいっさいありませんでしたが、取締役社長室長として間接部門を統括している妻は、この状況にどのように対処すべきかをちゃんと心得ていたようです。 ある時を境に妻は、小切手、手形の振り出しをすべて会社で行うようにし、実印と銀行印も会社で管理できるよ…

取締役「妻」というM&Aの偉大な協力者 その1

会社の経営において、経営者の「妻」の存在やその能力が語られることは少ないようです。私の経営していた会社は同族でしたので、大方のスモールカンパニーの構成のように、私の妻も取締役のひとりでした。肩書は「取締役社長室長」というもので、社員総数52名の中で女子事務員5名のリーダーとして、事務、経理、総務の間接部門を担当していました。 M&A(自社売却)成立時には、実印や、銀行員、小切手帳、手形帳等の引き…

単一事業の好調で「ゆでガエル」になった命とりの経営 その2

その1から続きます。 しかし、そうこうしているうちに、シルバーサービスを手がける企業が増えてきました。高齢化率の高い地方都市という事もあって、介護保険を見込んで、大手企業はもとより多数の企業が参入してきたのです。私は、何度もシルバービジネスでの新事業参入を検討したのですが、当時でも、介護業界は創生期とはいえすでに参入している企業もあり、新たなシェア獲得を図るにはすでに時期遅し、と判断したのです。…

単一事業の好調で「ゆでガエル」になった命とりの経営 その1

相続税の問題に付け加え、経営上の問題もありました。事業の柱がたったひとつという単一事業での経営は、さまざまな経費が単一事業の収益によって支えられているため、支えている事業本体が収益性や成長性を失えば、再生しにくくなります。  経営には常にリスクがつきまといます。また、事業のサイクルも十年、一説には五年ともいわれるほど短くなっています。このような状況下において企業を永続的に存続させるためには、あら…

相続税対策の不備は死活問題 その2

その1から続きます。 相続対策の問題を創業社長と顧問税理士に質問すると、創業社長は無言のままですし、一方の顧問税理士は「時折その進言をしたのですが・・・」という、言葉しか返ってきません。相続税が会社の経営問題に発展するであろうことに対し、私を含め誰もが悠長に構えてしまっていました。 創業時からある本社工場の土地・建物は全てが会社名義ではなく、父と母の名義分があり、これらを相続することになれば、私…